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決意を新たに仕事をする

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10月 11th, 2015 Posted 00:25

ホームヘルパーになってから時間が過ぎ、仕事もすっかり板についてきました。
「心配しないで、大丈夫だよ」「私にだってできたんだから」「あなたも最初のうちは不安かもしれないけど、乗り越えたら楽になるから」
私にも後輩ができて、新入社員が入る度にこうやって声をかけて先輩風を吹かせていました。後輩にはちょっと風が冷たかったみたいで、不安そうな顔を浮かべながら、私の話に耳を傾けている子もちらほらと見受けられます。後輩たちを見ていると、働き始めたころの私の姿が思い出されて、懐かしいようでちょっと気恥ずかしくて、思わず机の上にあったプリントで顔を隠しました。
少し前に後輩2人を引き連れていくつか訪問先を回り、7件目に75歳のおじいさんのところへ行ったときのことです。訪問先に着くと後輩たちにも疲れが見えました。もちろん私も疲れています。後輩たちへ気の利いたセリフが思い浮かばなくて、私は「ほら、早く」と煽るような言葉をかけてしまいました。
後輩たちは体力的にはきついながらも、私の指示どおりに動いてくれて介護作業は順調に進みます。
作業の終盤、おじいさんが「そこのお姉さん、ちょっと冷蔵庫から飲み物を取ってきてくれないか」と後輩の1人に向かって言いました。後輩は嫌そうな顔を浮かべ、飲み物を取りに行きました。それを見たおじいさんは少し悲しそうな表情を浮かべ、飲み物が来るのを待っていました。後輩が戻ってきて冷たい飲み物を手渡すと、おじいさんは浮かない顔で「ごめんなあ」と言いました。「ありがとう」ではなくて「ごめん」と。おじいさんはきっと嫌なお願いをしてしまったのではないかと不安になっていたんだと思います。後輩がもし笑顔で承諾していたら、おじいさんも笑顔で「ありがとう」とお礼を言ったのではないでしょうか。私が新人のときに、疲れて余裕がなくなって、それで頼み事をされたら、笑顔で行動に移せるかなと自問しました。
この日のことを教訓に、自分が仕事で不安になったり、不安にさせられたりしても、もう2度と訪問先の人々を不安にはさせないと、私は心に誓ったのです。